本の紹介 奇跡の脳

本の紹介です。



ずいぶん前に読んだのですか・・・
これは、わたしにはまさにどんぴしゃりの本でした。
やはり病を得た友人が、友人から紹介されたことがある、ということで。
ネットで探したらすでにハードカバーは絶版?で、改めて日本における本の寿命の短さを嘆きたい感じ。
幸い文庫が五刷までされていて手に入ったので、何冊か購入し、その友人にも送りました。
著者はアメリカの脳科学者、彼女が脳の先天的な奇形によって30代で脳出血を起こし、その後、8年を経て「復活」した経験を綴ったものです。2008年に、タイム誌の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれているらしいのですが、わたしはその頃、脳出血には縁がなかったので…全然知りませんでした。
血圧もどちらかと言えば低いし、コレステロールも低めだったし。メタボじゃないし。

彼女によれば、人の脳は右脳と左脳というパートに分かれていて、情報の分析や行動の指令といった、現代人の行動のほとんどは左脳がしているらしい。
右脳はもっと感覚的な、生物としての本来の部分というか。つまり、現代人としての言語による組立や行動は左脳が担っているので、そこが壊れると自分と世界の区別が難しくなって、自己が失われる、というような分析と、脳の再生能力によって、それを取り戻すことが出来るということ。でも、自己を確立しすぎた現代人の脳は、いわゆる利己的で、右脳は調和や一体感、安らぎなどを持つ生物としてのものである、というような解釈でした。脳科学者としての立場やそれまでの知識による、おそらく科学的な分析でしょう。

わたしも同じような体験をしたので、とても共感できました。ちょっと違うのは、もちろん科学的な知識は持ち合わせていない、一般人の立場なので、うまくは説明できないのですが、私の場合は「脳の新しい部分」が壊れて、「古い部分」が活性化されたみたいな感じ。でした。つまり、いろいろ記憶した情報を分析したり、行動したりは出来ないけれど、映像的なものは考えられるし、2カ月くらいで文字は書けないのに絵が描けたという事実。そして、臨死体験は宇宙との一体感。入院中に「宇宙の真理」を体感出来た気がしたことは、彼女の言う右脳の機能そのものである気がします。

そしてもうひとつ、言語はもちろん、二足歩行やそのほか日常的に出来ている生活のほとんどが、じつは学習という「慣れ」で出来ているのではないかという疑問。
そして、それを検証する肉体を思いがけず得たという幸運に気付くことができました。
人間は想像することが出来るので、経験しなくてもわかることはたくさんあると思いますが、このような状態から生還して、それをまた他者に語る、ということはなかなか難しく・・・

当事者でなければ語れないいろいろ、たとえば脳が一時的に壊れているとき、本人がどう感じているかや、どう扱ってほしいかは、まさに伝えなければ相手にわからないことです。で、脳がそのような状態のときは、体の部品の故障のときと違って、伝えたくても表現出来ません。人として扱われない辛さはなかなかしんどいものです。だから、生還したものはそれを伝えなきゃ、という思いがあります。そんなところが一番共感出来ました。

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