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初夏の一日、前から一度訪ねたいと思っていた東京湾・・・三番瀬を船で巡るというチャンスがありました。(さとやま通信夏号で特集) なんとなくもやっとしたお天気でしたが、雲はなく海は穏やかで大潮のためかなり水が引いた状態でした。うっかりすると船底が海底にぶつかりそうなところを、長い棒で深さを確認しながら進み、地元の方に教えていただいて腰巻き漁と呼ばれる方法で二枚貝を捕ったり、その貝を「むき身」にしたり調理していただいて味見したり・・・。 貝殻島と呼ばれる洲に上陸して鳥や海の生き物を観察したり・・・。 海の色はうす茶色でぶわりぶわりとくらげが漂い、陸の方を眺めれば工場やビルが見える、という不思議な光景。しかし、そこには実に様々な生き物たちが、そしてずっと海とともに生きてきた「さとびと」ならぬ「さとうみびと」が、たくましく生活しているのでした。 満ち潮とともに浅瀬に移動してくる、たくさんの小さなやどかりたちを眺めながら、「ああ、やっぱり海は生きているんだな」と実感できた一日でした。遠くから眺めるだけだと、ついそんな当たり前のことすら忘れてしまう。水の循環によって生きているこの星のすべての生き物にとって、とても大切な役割を持っているこのような『水際』は、いまや地球上のどこにおいても決していい状態にあるとは言えないというのが事実です。 そんななかでもとりわけ厳しい環境と思われる東京湾で、どっこいがんばって生きているさまざまな生きものたち。採りたての貝のお汁は本当においしかったけど・・・。