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コアラのデコちゃん

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 コアラはご存じの通り、オーストラリアなど南半球に住む有袋類で樹上生活をしています。日本の野生動物じゃないのに、なぜ? それは、いまから10年以上も前に、多摩動物公園のために作ったコアラが働きすぎて?だいぶ傷んでしまったので、その後継者が必要になったためでした。 もっとも、その「デコ」ちゃんも修理したので、ピンチヒッターくらいには出番があるかもしれません。彼らは、ケージの中で眠ったり、遠くからしか見えない 本物に代わって、体の仕組みや生態などを解説していただくときに、近くで見たり、だっこしたり(本物よりは少し軽いけど、実際に5キロ程度の体重がありま す)というふうに働くために作りました。 コアラ3きょうだいの中で、見るからにくたびれた丸顔の子が10年以上働いた「デコ」ちゃんです。  今回作ったのは、デコちゃんの代わりを務める♀のコアラ、お腹には袋があって赤ちゃんコアラのためのおっぱいもあります。乳首は2つあるのですが、カンガルーと同じように赤ちゃんが吸い付くとその一つがにゅーっと伸びるんですって。 コアラは木の上で生活しているために、有袋類であるということのほかに私たちが普段目にする動物たちとは違った特徴があります。例えば、手足の指は、手 (前足)が2本と3本の指に分かれ、足は親指に爪がなくて、2番目と3番目の指はくっついている、みたいな、ちょっと思いがけない形をしています。そし て、爪はとても鋭くとがっています。 腕は太く、足は短く、木の枝にしがみつくのに都合がいいんでしょうね。落っこちたら大変だから、爪でがっちりつかまないと・・・お腹の袋もカンガルーとは少し違って、あまり目立ちません。  子供は少し大きくなると、お母さんの背中におんぶするみたいにしがみついて「子守ぐま」なんて言われたこともあるんですね。そういえば顔は少しクマにも 似ていますが、同じ有袋類の「ウォンバット」にもよく似ています。ウォンバットも丸顔でとてもかわいい顔をしているので、わたしは大好きですが、彼らは樹 上ではなく、地上で暮らしています。  有袋類にはほんとうにいろいろな形のバリエーションがあって、大きさもいろいろ、肉食の連中から草食のおとなしい種類まで、進化の歴史を見るようで面白 いです。かつては「フクロオオカミ」みたいな、大きな肉食の有袋類もいたなんて驚きで...