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初夏、南の方では梅雨入りも伝えられ、ようやくホトトギスやサンコウチョウなど夏鳥の声も聞こえるようになりました。  それにしても今年は各地で雪消えが遅く、5月の声が聞こえる頃に北海道ではまとまった降雪があったりして、寒い春でした。網走方面では桜が例年よりかなり遅く咲き、農作業も遅れ気味のようです。地震の影響が大きかった中越地方も、雪がなかなか消えないで大変だったみたいですね。  こちらでは雪こそないものの、冷たい空気がなかなか去らなかったせいか、朝晩の気温がずっと低く、おまけに5月は雨が少なかったので、夏向きの植物の成長がどうしても遅れがちです。種をまいたニガウリや、里芋の発芽がすっかり遅くなってしまいました。   まあ、植物の場合は暖かい日が何日か続くと、すぐに遅れを取り戻したりするので、これから先どうなるかはわからないのですが・・・・。  ちょうどこの時期ひなを育てる小鳥たちには、この時期の低温がちょっと心配です。低温が続き、雨が降ったりして体が冷えると、巣立ちしたばかりのひなが育たなかったりします。また、夏鳥の繁殖があまり遅くなると、ひなが大きくなって充分渡りが出来るようになる前に寒さがやってきて、これまた都合が悪いのです。   5月の乾燥では、池もどきのオタマジャクシたちにも干物の危機が何度かありましたし、生き物が成長するときの気候の変動には大きな影響があるのですね。  そんな中、毎年今頃にちらっと見かける、ちょっと変わった庭のお客さんが、今年はちょっとだけ長逗留していきました。   それは派手な模様のある南方系の蝶で、アサギマダラという名前を持っています。普段は高いところを飛び、長距離を移動することで知られています。  このアサギマダラが今年は玄関先のフジバカマの鉢植えが気に入ったらしく、毎日ふわふわと羽ばたいてはまた戻って、4日間も羽を休めていました。そして、5日目からは見かけないので「充分力を蓄えて旅にでたのだろうか」とみんなで話しました。  アサギマダラの滞在中、少し気温の高い日中には今年はじめてのアゲハやナガサキアゲハも見かけました。少し肌寒い今年の春から初夏でしたが、蝶の世界は確実に北上を続けていて「やはり温暖化は進んでいるのだろうか」とぼんやり考えるこの頃です。   さて、今年の夏はどんな夏になることでしょうか。

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気が付けば山は緑、と言っても濃いグリーンではなく、葉先がうっすらと赤みを帯びたものやクリーム色っぽいもの、明るい黄緑やオリーブ色に近いものなど、実に様々な緑で山の斜面は覆われています。 山は緑、と単純に思いがちですが、落葉樹を中心とした自然林では、その緑が実に複雑です。木の種類によって芽の色や形がみんな違うからです。本当に「同じ色がひとつもないのでは?」と思うくらいです。 秋になれば、山は同じように様々な色に変色しつつ、落葉していって色を変えていきます。緑の出始めは変化が早く、人もなんだかいそがしいので、ゆっくり眺めている時間もなく、いつのまにか一面同じような濃い緑に変わってしまうのですね。 でも、出始めの緑は本当に美しいです。なんだか空気も新鮮になるような気がして・・・・。 この時期は、小鳥たちもたくさんさえずっています。さえずりと言えば、我が家の裏山でよくウグイスの声が聞こえるのですが、その中にどう聞いても「ホー、ホチョピー」と聞こえるのがあります。初めのうちは「練習中なのかなあ」と思っていたのですが、いつまで経っても「ホチョピー」なので、聞く度につい笑ってしまいます。こちらもつい「ホーホチョピー」と口ずさんだりして、それにまた例のウグイスが答えたりして、なんとも奇妙なことです。 そのうち、久しぶりにまとまった雨が降ってきて、どこからか小鳥の声に混じって「カララララ、カラ、カラ♪」とシュレーゲルアオガエルも鳴きだしました。サンコウチョウの声をまだ聞いていませんが、今年も無事に南から渡ってきてくれるでしょうか。 寒い日の多いこの春、小鳥たちが無事子育てを終えるように、季節の変化があたりまえであるように。つい祈りたくなるこの頃です。

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桜の花が咲く頃、暑くもなく寒すぎもしない、一年で一番いい季節になりました。 今年は寒さが行きつ戻りつで、なかなか花が開きませんでしたが、冬の次には必ず春がやって来るもので、気が付けば周りは花盛りです。 桜の季節はじっくりと待たせて、あっという間に通り過ぎてしまうものですが、植物の中では律儀なほうなのでしょうか、花や野菜の種まきの指標になっていたりします。桜のつぼみがふくらんだら、今年の種まきの準備をして、花が咲いたら種をまく。「何月何日に何をする」という予定ではなくて、季節に合わせてものごとをすすめてゆくというのが、かつての人々の暮らしだったのでしょう。 植物や動物を含め、自然を相手にする暮らしではものごとは予定通りには行きませんが、自然の流れをいつも自分のものとして感じることは出来たはずです。そこには、ちょっとした変化を感じる観察力や、じっくり待つ忍耐力、一気に仕事をする集中力など、いろいろな能力が必要なのだと思います。 一方、現代の人々は、日々日常どんどんそういうものから遠ざかっているような気がします。カレンダーに合わせて、予定の通りにものごとが進んでゆくのは当たり前で、桜の開花予想がはずれたら、いろいろ困ったことになったりするのです。 でも本来、桜は季節に合わせて花を開いているわけで、それが桜の知恵なのです。そうすることによって桜は、いえ植物や動物たちはこの地球上に永く生き続けて来られたのではないでしょうか。 人々は近頃、カレンダーに合わせて花を咲かせたり、野菜を作ったり出来るようにもなりました。だからといって、自然の流れを変えることが出来た訳ではないと思います。 このところ各地で起こる、地震をはじめとする自然災害を見ていると、人間はもう一度、桜の知恵に敬意を払うべきなのではないかと思います。 なにはともあれ、我が家でも山桜や大島桜、コブシや木蓮が咲き、4つの卵塊からヤマアカガエルのおたまじゃくしが泳ぎ出して、小鳥たちのさえずりもにぎやかになってきました。この春が行ってしまわないうちに、たっぷり楽しみたいと思います。

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思ったより寒い今年の冬が終わろうとしています。 当地では例年、この時期に湿った重い雪が降り、それは同時に冬の終わりを告げるものなのですが、今年は少し様子が違うようです。というのも、1月から2月にかけて割合空気が湿っていたのに、2月の終わりから3月になっても、空気が比較的乾いて気温が低いようなのです。そのせいか、3月に入ったとたん、私もついに風邪をひいてしまいました。 2月の終わりに降った雪は、いままでここで降ったどの雪よりも美しく、きらきら輝いていました。夕方から降り始めた雪は、大粒のふわふわしたもので、外出していた私が帰宅する頃には、近くの桜の木全体にふんわりとまつわりついていました。それはまるで桜の花のように見え、一瞬、突然桜が開花したのかと思ったほどでした。 そして、庭の木々は全体がまさに雪化粧。 いつもこの時期に降る雪はこんなにふわふわしたものではなく、べったりと水っぽくて、枝についた雪がしなり枝を折ってしまうほどなのですが、この雪はきらきら輝きながら枝にとまっています。 さらに、空には満月に近い月が輝き、ほんとうになんとも言えない美しさです。 雪がそういう状態でいる、ということはたぶんこの時期にしては気温が低く、空気も乾燥していたのだろうと思うのですが、寒いのも忘れてしばし見とれてしまいました。 寒さのおかげで、その雪は翌朝まで大部分が残り、朝日に当たって雪が滑り落ちる様はまるで雪国の深い山のような有様でした。 とはいえ、先月産卵されたヤマアカガエルの卵たちも小さなダルマ型に生長し、キジバトはどうやら次の卵をあたためるつもりらしく、春は一歩づつ確実に近づいているようです。 今夜はまた雪の予報ですが、たぶんあんな雪景色はもう見られないでしょう。 今年は東北や日本海側でも雪が多く、雪による被害もかなりあったようですが、身近でよく知っていると思っている雪でも、気温やそのほかの条件でずいぶん違うものに見えるなあ、というのが発見でした。 自然のなせる技は深く、多様で、美しくも恐ろしくもあるものだ、というのは当たり前ですが、普段の生活の中では忘れがちです。このごろはそれを思い出させるような出来事が多いような気がします。

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1月は平年並みという感じで過ぎてゆきましたが、「そろそろかな」と思っているヤマアカガエルの産卵が今年はまだです。とても暖かいときには12月に産卵することもあるようで、彼らには何月?なんていう認識はないのですね。 夏が過ぎ、だんだん寒くなって少し冬ごもりをし、そのあと暖かい日が何日かあって湿度も整うと産卵するのでしょう。正確には気温何度、水温何度で湿度が何パーセントの時間が何時間というふうに、たぶんある程度きっちりした条件があるのだろうと思います。長い間にきっと遺伝子?が統計をとったのでしょうね。 これは例年、桜前線のように日本列島を北上してだんだん広がってゆきます。何年か前には1月の早いうちに産卵があったのですが、今年はときどき鳴き声が聞こえるものの、産卵は確認出来ません。かえるの長期予報では、今年は暖冬ではないのかも知れません。 さて、鳥の世界では少し事情が違うようです。去年の12月に巣材を運んでいたキジバトは、1月になって、毎日3匹の大きな犬が走り回り、その根元で夜中におしっこをしたり、周りの木をばっさり枝おろししたにもかかわらず、1月12日に2羽のひな鳥が巣立ちを迎えました。時々見上げると、なんとなく中身があるように黒っぽかった巣は、ひながいなくなって、やはりすかすかのからっぽという感じになりました。それにしても、この一番寒い時期に、人の生活の目と鼻の先でよくも無事に育ったものです。 考えてみれば、過去にその周りの木で夏に巣作りしたときは、2回とも巣立ち直前をねこに襲われ、ひなの少なくとも一羽は命を落としたのでした。いずれも、我が家の仕事場から一メートルという至近距離で、どうやら彼らは人間を外敵から身を守る盾に使っているみたいです。ひょっとしたら、犬たちも利用されているのかも・・・・。 そして、秋にも繁殖するとは聞いていましたが、こんなに寒い時期でもひなたちは耐えられる強さを持っているのですね。それに、ひなたちを養うだけの食べ物もあるということです。ひなの最大の敵であるねこやカラス、猛禽なども、まさかこんな季節にキジバトが子育てをしているとは思わないのかもしれません。 そんなこんなで巣立ったひなたちは、まだ庭の中でうろうろしていていきなり走ってくる犬に驚いて飛び立ったりしています。彼らが一人前のキジバトに育つことを祈って・・・・。 マンサクのつぼみもふくらみ、

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去年は世界中でいろいろなことがあって、大変な年でした。 そういう意味では年が明けても、すっきりあらたまるという感じではないのですが、とにかく、無事に2005年がスタートしたのはめでたいことです。 今年は、一月になってから寒い日が続いたので、カエルの産卵はまだですが、植物たちは軒並み例年より1ヶ月前後早く花を付けています。当地では早咲きの桜が咲き始め、12月半ばくらいには水仙が、いつもは節分に少し遅れる洋種のせつぶんそうもすでにつぼみをもたげ、一般にクリスマスローズと呼ばれるヘレボラス・オリエンタリス(レンテンローズともいいレンテン節に咲くといわれる・・・例年2月半ばくらいから咲く)も早いのはクリスマスに咲いていました。 そして12月のある日、工房の脇にある槙の木にキジバトが枝を運んでいると思ったら、なんと産卵したらしく1月になっても親鳥がそこに座っています。キジバトは春のほかに秋遅くにも産卵することがある、と聞いてはいたのですが、まさかこの一番寒い季節を選んで子育てをするとは・・・・。 しかも彼らの巣は思いっきりぞんざいで、前にヒメシャラの木に作ったときは下から卵が透けて見えたほどです。普通鳥の雛が育つ季節とは全く異なる時期に繁殖することで、天敵(カラスやネコなど)の目を欺いているのでしょうか。でも寒さは大丈夫なのかなあ。もしかして暖冬と予測したのか?ちょっと謎です。 そんなハトの行動とは別に12月の終わり頃、庭の一番奥でちょっと変わった拾いものをしました。ある朝、飼っているレトリバーの一頭が地面に鼻をつけ、しきりにくんくんやっていました。近づいてみるとそこには黒っぽいちょっとほこりのような感じの小さな固まりが転がっていたのです。長径が2センチくらいのきたない小さな固まりです。なんだろう、と思ってつまみあげ、手のひらに乗せると妙に軽く、それが小鳥の羽の固まりであることに気づきました。 軽くほぐすと中から小鳥のものと思われる小骨がぽろぽろ出てきました。うーんこれはもしや?と思い、早速それをビニール袋に収納。鳥の図鑑をいくつかぱらぱらめくると・・・・やっぱり。これはフクロウの「ペリット」でした。 フクロウやカワセミの仲間など、獲物を丸飲みにする鳥たちは、その骨や消化しにくい部分をペリットと呼ばれる固まりにして、あとから「ぺっ」とはき出すのです。ちょうどジューサーの絞りか