さとやま暮らし

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2008年7月18日金曜日

クマタカ

今回の作品は「クマタカ」です。


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実物よりほんの少し大きいかもしれません。山形県の猛禽センターで、教材、あるいは展示用として使われることになりました。

じつはクマタカを製作したのは3度めです。

飛翔している猛禽では、ほかにイヌワシも2度、あとカラスも1羽作りました。鳥の羽を作るのはなかなか難しく、製作の方法もどこかに既存のやり方があるわけではないので、すべて手探りでした。



何度か作るうち、また今回は猛禽センターの方に無理を言って出来るだけの資料を用意していただいたので、製作の手順もかなり進化してより本物に近い形を作ることが出来たと思います。くちばしや爪は、ほんものの標本をお借りしてそれを見本に樹脂で作り、サイズを計測した値から割り出して細部の部品を作り、最後はたくさんいただいた画像を参考に羽1枚ずつ模様を描きました。




全体として白や淡色で鳥の体を作り、それを立体塗り絵のように彩色していって、仕上げたものです。

羽の素材はシルク、それを入手するにあたってはちょっとした苦労がありました。素材のシルクはアートフラワー用のもので、裏に糊を張ってハリを出したものなのですが、これを加工していた会社がご時世でなくなってしまい、生地は配給!・・・とのこと。

やっとの思いで必要量以上を確保(今後同質以上のものが入手出来る可能性は不明)し、胴体の生地(淡いページュのこれもすでに廃盤在庫僅少)を出来るだけ効率良く裁断して・・・その前に足の爪とくちばしを作り、それを組み合わせて頭部と両足を製作。




そして羽の部分を3つのパーツに分けて(1枚ずつ×10枚)+(数枚分で1枚)+(1枚ずつ×3枚)を裏表2組、×左右の羽で2倍、それと芯を各1枚裁断。それらを羽軸のワイヤー(重くなく、まっすぐの状態を保持するため、番手が重要)を挟んで接着、そして一枚ずつ再度整形。それからワイヤーを補強しつつ翼を形成。そして尾羽も同様に数枚のパーツで製作し、胴、頭部、尾を組み立てて全体の大きさを決め、それに胴の生地を縫ってかぶせ、羽の前部を覆う生地を裏表かぶせて白い鳥の体が出来る。




次にこれを着色するわけですが、なにしろ大きいので置く場所も必要だし、左右対称にするためには少しずつ右、左、と着色しないと色に濃淡が出てしまう・・・などなど、一筋縄ではゆかないのです。しかも全体を形にしてからの着色なので、失敗は許されない!ということで、かなりの時間と手間がかかりました。

最後に整形しておいた足を取り付け、その部分に着色してようやく出来上がり。

頭部にはカットや細かい彩色をして冠羽を作りました。そうして出来上がったクマタカの記録画像を撮るべく、後ろの緑を背景に撮影していたら、近くにいた人たちが本物かと思ってまわりに集まってしまいました。

クマタカは、はっきりした模様もあってかなりインパクトが強いので目立ちますよね。

しかも翼開長1.8メートルという大きさですし。こんな鳥がこんなところにいるわけはないのですが・・・しかも簡単に持ち上げられて・・・クマタカ自身は標高の高い山などに広い縄張りを持って狩りをする、タカの仲間では大型の鳥ですし、日本では数も減ってしまって野生の姿を見るのはとても難しい鳥です。

かつてはオオタカとともに鷹狩りにも使われたようで、日本画の題材にもよく使われているのですが、今では実際に見ることは難しく、大きさを実感するのも難しい~ということで製作をさせていただいた次第です。

かれらは大きくて美しいというばかりでなく、山地の生態系の頂点に立つ生物の豊かさを象徴する生き物という意味で、日本の自然になくてはならない存在です。そんないきもの、大型の猛禽類や、熊たちが今、置かれている状況を考えると胸が痛みます。

それはいずれ、われわれ自身にも返ってくる未来を暗示しているかもしれません。とはいえ、わたしのところから巣立った1羽のクマタカが、猛禽センターで出会うたくさんの人たちに、何かを伝えるお手伝いが出来たらいいな、と考えて作品づくりの糧にしたいと思います。



そして、最後の大仕事。それは、梱包です。

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