ヤンバルクイナとオオコウモリ
去年のはじめ、友人で絵描きの大田黒さんから、思わぬお誘いを受けました。 それは、絵描きさんを中心に、数人のグループでヤンバルクイナの生息する沖縄北部を訪ね、作品に仕上げて展示をするというもので、それ自体を危機的状況にあるヤンバルクイナを知ってもらうキャンペーンにしたい。というものでした。大田黒さんと、お知り合いのI氏が企画されたもので、名付けて「やんばるアートプロジェクト」。 このための必要経費(旅費など)は、スポンサーを募集して出資してもらい、後日展示を終えた作品をスポンサーにお渡しする、という画期的なプランです。 作家は作品を提供するかわりに、なかなか自分では出かけられないやんばる地方の取材を経費をかけないで出来る、また、それが結果的にヤンバルクイナの役にたつかもしれない、というまたとない機会です。その上、実際地元でヤンバルクイナの保護活動をされている方々に、直接森を案内していただいたり、彼らの現状についていろいろお話を伺ったりできる。なんだか夢のような企画でした。 それではじめは半信半疑(ごめんなさい)だったのですが、日程が決まり、あれよあれよという間に5月になって、やんばるアートプロジェクトツアーは実施されたのでした。 それはほんとうに貴重な体験でした。 地元の方々にすれば、ここ数年のあいだにかなり変わってしまったというその場所、ヤンバルクイナの声を聞きながら眠り、オオコウモリの群れる木を眺め、太古の昔をるような大きなシダが茂る森を歩き・・・ しかし、同時にいまこの地が抱える様々な問題も同時に知ることになりました。この北部へ来るまでの道すがら、途中の森ではマング-スの北上によって、昆虫や鳥たちがいなくなってしまったために、音のしない静かな森になってしまったこと、ヤンバルクイナの生息地のすぐ近くまでマングースが北上していること。また、やんばるの森の中まで舗装道路が通っていて、クイナが子育てをする季節は交通事故がとても多いこと。実際滞在中の4日間に2羽の成鳥が犠牲になったこと。ほかにも、道路脇の側溝に落ちて、ひなやそのほかの小動物がしんでしまうことなど。 そんな側溝のわきをパトロールする人たちがいて、命拾いするひなや小動物もいる。それはごく一部かもしれないけど、考え続けるひとたちが地元にいてくれる、というのは一つの希望です。ほかにも、沖