ヤママユの幼虫
生き物は何でも好き・・・な私だったのだが、こどもの頃平気で触れた ある種の虫が、オトナになってちょっと苦手になった。直接何か危害を与えられる訳でもないのに、写真でも絵でも、姿を見ただけでだめなのである。 頭では大丈夫、と思っても何か生理的に受け付けないというか・・・ とにかく、こんな日がいつか来たらという恐怖がどこかにあったのだが、とうとうその日はやって来た。しかも特大に拡大したやつを作れというのだ。 「えーっ」一瞬、担当の加藤さんを恨みそうになったが、待てよ、この ぐにゃぐにゃ感はどうやって作ったらいいのかな?どうせなら本物そっくりに 動かしたいよね、と、もう製作の方法を考えているもう一人の自分がいた。プロやなあ。って自分で言ってもね。 それからの格闘の日々、毎日少しずつ手触りや曲がりを確認しつつほとんど 手作業で仕上げるうち、苦手なはずのこの物体がなにかかわいく思えてきて、 とうとう最後には手放すのが惜しいほどに・・・?はならなかったが、 抱き心地がよくてついつい触ってしまうようになったことは確か。 実物より緑色の部分が少し濃くなりすぎてしまったのは残念だが、質感はなかな かよく出たと思う。カイコも一緒に作り、こちらも「気持ち悪ーいけどかわいーい」感じで良く出来 たと思う。これは次回に。 とにかく、拡大したいもむしはこうして形になったのでした。 これはクヌギやコナラの葉を食べる大型の蛾、ヤママユの幼虫です。 大きさは約50センチ。 実物は7センチぐらいの幼虫で、成虫は羽を広げると10センチ以上 になる大型の蛾です。 モスラみたいだねえ、言いながら作りました。作る前に資料をいろいろ調べるうちは、なんだかびくびくものだったのですが (それを見るのが恐ろしくて)その資料を身の回りにずっと置いていたら そのうち慣れたみたいです。 ぷにぷに感と、自在に曲がるしなやかさ、体表の一種の光沢を出すのに 体の節を一つずつ手作業でつなげたり、芯に「あるもの」を入れたり、表面に オーガンジーをかぶせたりと、けっこう苦労しました。たくさん手をかけたので、しまいに愛着がわいてしまったのですね、きっと。いい経験でした。 苦手もひとつ克服(実物はだめかも)出来たし。そうそう、これを作っている最中のことでした。炭焼きの準備をしていたスタッフの木村