さとやま暮らし

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2014年9月1日月曜日

かたつむりが食べる音

ちょっと前に読んだ本ですが・・・
「かたつむりが食べる音」これも新聞の広告で見つけたやつ。



最近、本のタイトルも色々で。
キャッチコピーというか、タイトルそのものがやたら長いのや、中身が想像しにくいのもあって。まあ、当たりかはずれかは求めるものによっても違うので、最終的には読んでみなくちゃわからないんだけど。
これはそのものずばり、終始かたつむりの、生態というよりは「暮らし」そのものといった感じで、装丁もそれを生かしてあって、カバーがビジュアル的にも素敵!ってわたしは思ったのだけれど、生きもの好きでない普通の人には気持ち悪いかもです。子どもはたいていかたつむり好きみたいだけれど、オトナになってもかたつむりに興味がある人は少ないかもしれません。

著者はガーデナー(庭師)だった女性で、年齢的にも思考や嗜好もわたしに近いと感じたので、共感しながら「文字を読む」というやや困難な作業にもかかわらず、あっというまに読めました。これはまだ、退院したばかりで途方に暮れてたときに出会ったので、当時とても励みになりました。

海外のお話ですが、最近日本でも明らかになりつつある、マダニが媒介するウィルスに他国出張で感染してしまった著者は、当時はっきりした因果関係も治療法も確立していない中で、寝たきり生活をするはめになります。植物と関わり、自然の中で生活出来た身は、ベッドを中心とした閉じた空間に生活するしかないのです。本当に、何でも選択出来た普通の暮らしをしていたのに、ある日突然選択肢がなくなってしまう生活は、なんとも表現しがたく、わたしにはリアルです。

その中で、友人が森から「拾ってきた」一匹のかたつむり。それは彼女にとって、ただのかたつむりではなく、外の自然界そのものであり、それに対する「以前と変わらない好奇心」を自ら発見するよすがであり、また「ひまつぶし」であって生活のすべてでもある、というものでした。
しかし、であるからこそ、「かたつむり」という、特殊な進化をした生物の言わば生態に数年間をかけて密着するという研究者としての目と、彼女の森への思いとが重なって、読み物としても美しいと感じることが出来ました。遠く、日本で翻訳出版されるだけのことはあります。それだけ手間も時間もかかっています。

そういうことが伝わる、ということに感動しました。
電子書籍も多くなってきた昨今ですが、やっぱり紙のメディアで、装丁も含めてひとつの「アート」なんだと感じます。

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