さとやま暮らし

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2010年9月5日日曜日

感謝

ぬいぐるみを作り続けてかれこれ二十数年が経ちました。

仕事を始めるとき、ちょっとしたご縁で当時デザイン関係のお仕事をされていた方に相談にのっていただいたことがありました。わたしの世代は企業で働くにしても、自分で起業するにしても、女性であることに特に不自由は感じませんでしたが、少し前の先輩たちはそれ以前の日本の社会の中で様々な苦労をされた世代です。そして、そういう人たちがその後に続くわたしたちに、物理的にも精神的にも惜しみないサポートをしてくださったおかげで、例えばわたしも今があるというふうに感じます。

そんなサポートや、こんなことしたい!というわたしの願望を人から人へつないでくださったり、ぬいぐるみたちを紹介してくださったり・・・という友人や仲間たち。そして実際にぬいぐるみたちをご購入くださって大事にしてくださるお客さんたち。そんなみんなのおかげで今のやまね工房はあるのです。近ごろの経済状況や日本でのもの作りを考えるとき、やまね工房が今もある、というのは冗談ではなく奇蹟に近いとわたしは思います。

ほとんどの日常は毎日手を動かして何かを作ったり、植物や生きものの世話をしたり、たまにはどこかへ遊びに行ったり、という同じことの繰り返しです。作ったぬいぐるみたちは、わたしのところから出てゆけば、それぞれいろいろな運命を歩くのでしょうが、それをわたしが知ることはそんなに多くはありません。そして、前述のように、ものを作る仕事は日々どんどんやりにくくなって、時には続けるのがつらくなることもあります。

今から2~3年前のある日、そんな気分でいたころのことです。いつもは見ない「24時間テレビ」をぼんやり見ながら、何かしていたとき、画面の後ろに何だか見たことのあるものが映っています。それは笑顔の女の子に抱かれる「きつねの赤ちゃん」でした。その女の子は14才を前にして病気で亡くなった岡田美穂さんです。彼女は闘病中にたくさんの絵手紙を描き、それにお母さんが文章を添え「みぽりんのえくぼ」と題して出版されたのでした。美穂ちゃんときつねの赤ちゃんの出会いは家族で出かけた北海道旅行とのこと。そして、あとから網走のスタッフに聞いたところ、その旅行で網走の店を目指してくださり、その後きつねは手術室まで闘病に寄り添い、一緒に天国に旅だったとのこと。その翌年、お母さんが再度店を訪ねてくださって御本をいただいたこともわかりました。

当時一人で店を切り盛りしていたスタッフは、話さなかったっけ?という感じで、記憶にはあったのですがこちらには届いていなかったのでした。ちょうどいろいろ行き詰まっていたころのことで、きつねの運命はわたしに衝撃を与えました。早速お母さんにお手紙を書いて出版社に託したところ、丁寧なお返事をいただきました。そして、そこから先、やまね工房が続いてゆくひとつの原動力になったのでした。

この夏、美穂ちゃんは今度は役者さんが演じるドラマになって「24時間テレビ」に登場しました。きつねは出てこなかったけれど、闘病というつらい期間の中ですばらしい絵の数々を残された美穂ちゃんと、ご家族のありように現代社会の闇とは反対の、希望を感じた人は少なくないでしょう。読み終わった本は、だれかにおすそ分けしたいと思ってあるひとに差し上げたのですが、ごく最近あげてよかったなと思う出来事がありました。こんなふうに、ひとつひとつの出来事はバラバラのように見えて、ひょっとしたらひとつながりなのかもしれない、と思えることがたまにあります。それはもしかしたら単なる思いこみかもしれないけれど、それを糧にして何かを続けることは悪いことじゃない!と感じるこの頃です。

それは、ときどき修理に帰ってくるぬいぐるみたちだったり、どこかの映像にちらっと映る彼らだったり、たまにいただくメールやお便りだったり・・・

【下の画像は、修理依頼で帰ってきたぬいぐるみたちの修理後の姿】

大事にしてもらってありがとう

大事にしてもらってありがとう

おかげさまでなんとか続いてきたやまね工房、今年は秋にまた東京・ミツムラアートプラザでの「いきものつながりアート展」と、巡回長崎展などいくつかの展示を予定しています。

存続の危機はとりあえず脱したものの、今年は応援してくださった大切な方たちが遠くへ旅だってしまったり、展示も巡回で遠くへ出張するなど25年めのひとつの節目なのかもしれません。最初に書いた先輩に言われた「20年続けなさい。そこまで続ければきっと何かがつかめるし、それだけやってだめならあきらめればよい。」というのが、ようやく少しわかったような気がします。20年も、ひとりでいくらがんばっても続くはずがありません。今ここに書いた、みなさんとのつながりを大切にすること、それが20年継続のひとつの意味かな、と思います。どんなに大きな企業でも、20年それを続けるということはそんなに簡単なことではないでしょうし、お金は全然ないけれど、きっとこれはやまね工房にとってすごい財産なのです。

さあ明日もがんばろうっと!展示、見に来てくださいね。

7 件のコメント:

  1. 20周年おめでとうございます。

    姪っ子が小さい頃にヤマネくんやらモモンガくんを買ってあげたのを憶えてます。 彼女もあと数ケ月で20歳になります。 彼女に子供ができたら、もう一度、その子にプレゼントしますから、もう20年がんばってくださいね。

    ミツムラさんの展示会、楽しみにしてます。
    ではでは(^-^)/

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  2. thuuさん、応援メッセージをありがとうございます。
    あと20年はどうかと思いますが、出来る限りがんばりたいと思います。

    やまね工房を個人で始めたのは1985年・・・なので、やまね工房としてはじつは今年で25年になります。その間、最初に作ったやまねとももんがはず~っと看板ぬいぐるみです。

    思えば四半世紀!(今の組織、そして網走のお店は19年めです)
    カイツブリは材料がなくて途中廃盤になりましたが、最初の6種類のうちやまね、ももんが、ひどりがも、みこあいさ、このはずく、は未だ現役です。
    それから少しずつ種類が増えて、最近はまた減ったりちょっと増えたり・・・

    展示の作品製作も佳境に入ってきました。がんばります!
    見に来てね♪

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  3. 落合けいこ様

    数年前、旅先のお店で偶然やまねちゃんを発見してから千葉に連れ帰り、いまは5ひきのやまねちゃんを大事にしています。

    展示会はどこで、いつからやるのですか?落合様もいらっしゃいますか?
    本当は北海道の工房を訪ねたいのですが、なかなか行けずにいます。
    関東でなにかイベントがあるのでしたら是非行きたいです。ミツムラアートプラザのことを調べてみたのですが、開催日時が書いてある場所がどうしてもわかりませんでした。
    他にもなにかイベントがあれば是非教えてください。
    お手数おかけして申し訳ございません☆

    やまねちゃんはずっとかわいがっていきますのでご安心ください\(^▽^)/応援しています!!

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  4. なおみさま

    応援ありがとうございます。
    展示は東京・大崎「ミツムラ・アート・プラザ」が、11月12日~21日までで、長崎が「県立美術館」11月27日~12月6日までです。
    作家6人のグループ展になります。
    会場にいつ居るかとか、まだ細かいところは決まっていませんが、順次お知らせする予定なのでまたブログやホームページに遊びに来てくださいね。
    作品も一部紹介する予定です。

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  5. 落合けいこ様

    ご返信ありがとうございます!
    お問い合わせから質問すれば良かったと後で気が付きました。お手を煩わせてしまい、申し訳ありませんでした(>_<)

    でも、ご返信いただけてうれしいです、ありがとうございます!大崎のイベントには是非行きたいと思います!またHPとブログを見させていただき詳細をチェックしようと思います!

    ありがとうございました!!

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  6. 斎藤 モモンガ 桃太郎2010年10月5日 18:38

    落合けいこ 様

    20周年おめでとうございます。
    家にはいつ来たかわからない 本州モモンガと今年買ったエゾモモンガがいます。
    本州モモンガは大事に?しすぎておけ毛がぼそぼそになってしましたしたが元気に暮らしております。

    もう少ししたら修理に帰京させるかもしれませんのでこれからもがんばってください(^^)

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  7. 齊藤 モモンガ 桃太郎さん

    ももんがぬいぐるみを大切にしてくださってありがとうございます。

    展示にむけてがんばります。

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