は虫類と昆虫の話題

先日、蒸し暑い夜のことでした。

網戸にしてあった窓の向こうから、烏骨鶏たちの悲鳴?が聞こえ、寝床にしていた巣箱の上からばたばたと飛び降りた気配がしました。何事!?と懐中電灯を向けたらば、鳥たちの寝床の上になにやらぶら~んと太いヒモが・・・ん?動いている?よく見たらそれは1メートル程度で鶏小屋の金網をやっと通る太さのヘビでした。

ぶら下がるシロマダラ・・・じつはこの1週間ほど前にやはり1メートルくらいのアオダイショウが、鳥小屋の前で何かを飲み込んでまるで2連のソーセージの状態でのんびり楕円のとぐろを巻きまどろんでいました。それを書こうと思っているうちにこいつと遭遇。思い切りピンぼけだけど、嫌いな人にはいい迷惑だよね~
あらま!どうやってお引き取り願ったものか、とそこはしっかりカメラを携えて近くへ行ったところ、そいつはこちら側の金網からずるずるとはい出て、結局となりに建っている物置の下にもぐり込んだのですが・・・それは「アオダイショウ」でも「シマヘビ」でもなく、かなりめずらしい「シロマダラ」(たぶん)というやつでした。

もっともかなりのご老体か、本来白と黒の太い縞が交互にあるはずの白い部分がかなり赤味を帯びていて、まるで沖縄地方にいる「アカマタ」のようでしたが。どうやらこの種のヘビは夜行性で、余り人目に触れることがないため、幻ともいわれているようです。うちのまわりには以前からいて、そのとき見たのはきれいな白黒模様でした。とにかく、近頃はトカゲの姿をほとんど見かけないのが気になりますが、ヘビに関しては家の庭で本州に分布するマムシ以外の全てのヘビを見たことがあります。

それは年によっていくらか違い、おたまじゃくしの多い年はどこからやって来たのか「ヒバカリ」が、ヒキガエルが増えたと思ってたら巨大な「ヤマカガシ」が半年ほど滞在し、翌年大きなヒキガエルが1匹もいなくなったり。つまり、庭は裏山から自然界へとつながっているんですね。

そんな感じで、羽のある鳥や虫たちも折々庭にやって来ます。

外来種の異様な増殖は気持ち悪いですが、たまには美しい珍客が見つかることもあって、昆虫では「タマムシ」や「ドウガネサルハムシ」、そして今回生まれて始めて「オオキンカメムシ」なるものにお目にかかりました。大きくて細長く、厚みもあってつやつやと光る美しいカメムシです。

保管中に頭と胸部分がとれちゃったけど、すごく小さい宝石のような「ドウガネサルハムシ」
庭先で水やり中、発見したときには仰向けで足をばたばたしていましたが、空きパックに収容して上向きにしてもいっこうに動かず、翌日には命尽きていました。寿命なのか、または台風かなにかに飛ばされてきて疲れてしまったのか・・・その割にどこにも傷はなくきれいでしたが、とにかくそこでそれは一生を終えました。

オレンジ色と黒に、赤紫の光沢、「オオキンカメムシ」
(下の画像3枚)






そしてその翌日となる昨日、ふと思いついて友人たちと予定していた昆虫や植物の細密画「熊田千佳慕展」にその虫を持参することにした。というのも、いちばん詳しい北隆館の昆虫図鑑には載っていたものの、わたし自身始めて見たそれはどう見ても南方系の美し過ぎる虫だったから、虫嫌いでない友人たちにもそれを見せたくて。

「熊田千佳慕」さんは、絵本やファーブル昆虫記などの細密な絵を実に99才まで描き続け、今回の展覧会開催初日の翌日、天寿を全うされた絵描きさんです。もっともご本人はまだまだ描きたかったのかもしれませんが。そして、待ち合わせの時間に少し余裕があったわたしはその展示の下の階で、ステンレスの針金を使っていろいろな生き物を作る作家さんの作品に出会いました。ちいさな昆虫やカエル、鳥やは虫類などを針金一本から立体にした作品です。それから虫の話になり、件の「オオキンカメムシ」は友人に披露したあとでこの作家さんに差し上げることにしました。これからも素敵な作品をたくさん作っていただけますように。

そして展示のあと、これも長いお付き合いの友人主催「ネイチャー&サイエンスカフェ」というものに出席してきました。それは、自然や科学について何かの仕事をしてきた方を囲み、お茶を飲みながらそれについてのレクチャーや苦労話などを聞く、というものです。今回はNHKで「里山」シリーズを制作されたプロデューサーの村田さんをお迎えして、劇場版制作についてなど貴重な映像とお話を聞きました。この日はわたしにとって久しぶりの都会、友人知人・始めての人との出会い、久しぶりのよい刺激で充実した一日でした。

ネイチャー&サイエンスカフェは東京・渋谷で不定期に開かれる、科学や自然に対して興味のある人の集まりです。来月もあるので、お時間とご興味のある方はぜひどうぞ。詳細はまたブログでお知らせします。

また、映像詩・里山は近く劇場公開されますので、ぜひ大画面でごらんください、とご紹介もしておきます。写真家の今森光彦さんとともにたくさんの時間をかけて作られた、美しい日本の文化としての里山が凝縮された映像です。

コメント

  1. 追伸
    地震予知の感度のいい動物、魚等わかりましたら内緒で教えてください。また、前肢を固めの素材で後はビロードらくだ色素材の「おけら」を作ってくださいませんか?。サイズは鉛筆か、小銭入れほどのもので。小銭入れならおけらにふさわしいのですが・・・

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  2. 音霊字訳師さん、オケラ・・・近頃さっぱり見かけませんが、元気でいるのでしょうか。あれってじつはコオロギの仲間で、夏の夜、ミミズが鳴いていると思われていた「ジ~~~」というのがそれだったって、知ってました?しかも彼らはじつは空も飛べる立派な昆虫だってこと。こどもの頃に、窓を開けて入浴中、飛来したのをぼんやり覚えていて、あーオケラって飛べるんだ!と思ったものです。それにしてもなぜオケラには「お」がついているのかな~?ほんとは「ケラ」なんだけど、それに「お」がついてオケラ。虫に「お」がついているのも珍しい。もっと丁寧なら「お」と「さん」がついて、例えば「おてんとうさん」とか「おきつねさん」とか、そうなるとほとんど神様扱いになるんだけど、その一歩手前の「オケラ」オケラになる・・・すっからかんのことだから、ひょっとしてオケラは貧乏神なのかしらん。地面に置くとその穴掘り用に発達した前肢をモグラのように使ってくるくると輪を描く姿がかわいいんだけど、作ろうと思うととても複雑で難しい造形です。大きくしたら気持ち悪そうだし、オケラ(すっからかん)になりたくないからオケラの製作はかんべんしてください。彼らも里山のありふれた生き物でしたが、近頃は住処が減っています。気がついたらいなくなっていた、なんてことになってほしくないですね。たとえ貧乏神だったとしても。

    キンカメムシの色彩は、とても日本的だと思います。きんきらしていて一見派手なんだけど、渋い緑と赤の模様に金を散らした漆器の蒔絵のようで、和装小物に合いそうな。これも日本の風土が生んだのかな、という感じがします。カメムシのセンス、なかなか渋いですね!

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