キクイタダキと小鳥

展示が終わって最初の作品は体重入りの小鳥でした。

キクイタダキ

年末までに仕上げようとおもっていたのですが、なかなか手がつかず・・・その間頭の中では型起こしが進んでいたのですが。年が明けて、3日くらいからとりかかり、一週間かかってなんとか形になるめどがつきました。

近くの自然観察ガイドをされているS氏の依頼で「キクイタダキ」と「シジュウカラ」。どちらも小形の野鳥で、シジュウカラは市街地や東京都内でも見られ、「ツツピー、ツツピー」とさえずるほっぺの白い小鳥、キクイタダキはちょっと標高の高い所に住む日本で一番小さな小鳥。

キクイタダキの体重はわずか6グラムで、「ミソサザイ」とともにもっとも小さい小鳥として野鳥好きには知られています。わたしは八ヶ岳山麓と、箱根で数回実物にお目にかかっていますが、小さくてかわいらしい小鳥です。名前の由来は頭のてっぺんに黄色い部分があり、頭の上に菊の花を載せているようなので、文字通り「菊戴き」ということです。

キクイタダキのペア

いつ命名されたのかはわかりませんが、なかなかしゃれた名前ですよね。黄色を菊の花に見立てたところなんか。シジュウカラなんかは、四十雀と書いて・・・どういう意味なんだか?いつもカラカラ言っているから、始終カラか?実際ツツピーツツピーの合間にカラカラ、カラカラ言っているように聞こえるんです。

シジュウカラの仲間をカラ類と呼ぶこともあるのですが、四十雀と雀の文字をカラにあてているところは、もともとすずめのことをカラと言ったのかもしれません。小鳥の声ってさえずっているとき以外はカラカラ、チュンチュン聞こえますものね。

さて、この小鳥たち、じつは数年前に教材用としてそれぞれ体重入りで5種類ほど作ったもので、双眼鏡などで観察する小鳥たちの、実際の大きさや色、重さや手触りなどが近くでわかるようになっています。

小鳥5種 上からコゲラ、スズメ、シジュウカラ、ヒガラ、エナガ

左からコゲラ、スズメ、シジュウカラ、ヒガラ、エナガ

重りがおしりのところに入っているので、足はないんですが手のひらに止まらせることができます。重たいスズメで25グラム程度、今回新たに製作したキクイタダキは約6グラムで、実際重りを入れる必要はありませんでした。

小鳥の色ってなかなか複雑で面白い模様なんですよ。スズメは枯れ草の地面に、コゲラは木の幹に、シジュウカラは木漏れ日の葉陰に、紛れて身を隠すように。良くできていますよね。でもキクイタダキの頭のてっぺんとか、エナガの白い体はなんでそんなふうなんだろう?ってちょっと疑問。

シジュウカラ

返って目立ちそうな気もするし・・・でもおしゃれだよね。たぶん彼らはそういう色になりたかった、のかも。

エナガの長い尾羽なんかは木の枝とかに同化する、というのもありそうだけど。

とにかく自然界の様々なバリエーションに脱帽です。今回、以前作ったシジュウカラに一つ疑問があって、資料をよく見比べたら、首の下からネクタイ状に伸びている黒い部分が、以前製作したものよりずっと太い写真がありました。シジュウカラは♂と♀の間に色の大きな違いはないのですが、これはきっと♂と♀の違
いだろうと思って、今回製作のものはネクタイを太くしてみました。

鳥好きでいつも観察している人には常識かもしれませんが、近頃双眼鏡をのぞく機会も減ったわたしには「勉強不足」「目からうろこ」の出来事でした。図鑑などでチェックしているつもりでも、詳しい資料でないとこういうところまではなかなか載っていなかったりします。身近な鳥でもあり、思いこみもあってよく見なかったり・・・。

ちなみにS氏にうかがったら、太い方が♂、とのことで、以前製作した♀と、今回の♂、合計2羽をお渡ししました。キクイタダキも、♂と♀、黄色いところをちょっとだけ変えてあります。小鳥の製作は、くちばしの形や色、すべて種類によって違うのでくちばしは樹脂粘土で手びねり、彩色はほとんど立体塗り絵の一点製作です。その分面白いのですが、大きさの割にけっこう骨が折れます。

スズメ

というか、じつは小さいほうが作るのは難しいんですよ。それで、鳥シリーズを作ろうという計画はあるのですが、なかなか進まず、S氏には1年以上もお時間をいただきました。どうもすみません・・・

コメント

  1. 本物の鳥達の写真かと思ってしまいましたΣ(゜゜)
    いつもとてもリアルで生き生きした作品で、本当に大好きです♪
    キクイタダキ、以前ウチにも来た事が1度だけあり、スズメやシジュウカラは毎日のように会える鳥たちなのでいつもよりももっと身近に思えました^^
    今回の小鳥たち、以前のネズミたちみたいに販売があるのでしょうか?

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  2. 宗さん、コメントありがとうございます。

    いつも応援してくださってうれしいです。

    ぬいぐるみの素材は、ほ乳類のほうがぴったりくるのですが、最近は色を付けたりちょっと刈り込んだりして、鳥やそのほかのもの?を作ることも増えました。

    今回の鳥たちは教材用として作ったので、足の部分を省略してあり、観賞用としてはどうかと思うのですが、鳥は種類によって色も形も違うので、立体絵画というか立体塗り絵みたいで、作るのが楽しいです。

    いずれ少数限定で販売出来たり、キットにして皆さんに作ってもらえるようにしたいな~と考えてはいるのですが、いつになることやら・・・ということで、具体的な予定はまだ出来ていません。

    気長に、お待ちいただけるとうれしいです。

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  3. はじめまして。
    やまね工房さんの作品は大好きだったのですが、鳥のぬいぐるみは初めて拝見しました。
    特に憧れのキクイタダキのカップル!
    私もぜひぜひ、販売を希望いたします。
    どうぞよろしくお願い申し上げます。

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  4. ひらぽんさんへ
    キクイタダキのファンの方って意外と多いんですね、スズメファンも多いようですが。
    そういえば日本の野鳥を題材にした立体ってカービングにあるくらいで
    ほとんど見かけませんね、日本画の題材になることは多いのに。
    小さい鳥ほどかわいいのですが、小さい鳥ほど作りにくいもので・・・しばしお
    待ちを・・・

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