ツキノワグマ

今年はなんだかクマ年だ。年の初めにツキノワグマの頭部をかたどった帽子と手袋のセットを作り、そのあとクマタカ・・・これは鳥だけど、クマがついてるし。

あとドングリをひっくり返してヒグマっていうプランが進行中(マル秘)。そうこうするうちに、クマの企画展というお話が・・・そこで作ったのが5匹の子ぐまたち。今年巣穴から出てきた1年目の子ぐまを想定して、企画展の企画者である博物館のY氏から資料画像をいくつか送っていただいて、ぬいぐるみだけど、本物っぽい感じの子ぐまたちを作ってみました。

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時間などの制限があって、一つずつ別々のポーズにする余裕はなかったんだけど、みんな同じじゃつまんないので、首を右に曲げたり、左に曲げたり、少しだけ上を向いたり、かしげたり・・・それから横目で見たり、という「小細工」をしてみました。

そうしたら、仕事場で5匹の子ぐまたちはまるでいたずらの相談をしているみたい!でしょ。


今年になって、というより手元で作る一点物はそれぞれ使用目的に合わせて製作するので、大きさや重さ、質感など、出来るだけ本物に近く、というのが多くなってきました。一口に体重や全長と言っても、頭部と胴体の割合や首の長さ、頭の幅とか体の太さなど、感覚的には意識していない部分のサイズが、製作するときには必要だったりします。


そしてなにより全体のバランスが重要で、それがちょっと違っているだけでも、なんとなくほんものの感じが出ない。そこで、最近は資料として骨格の画像をいただいたり、標本の頭骨をお借りしたり・・・資料について以前より欲張りになりました。もちろん、ぬいぐるみとして鑑賞するだけなら、その動物のかわいらしい仕草や特徴をいったん頭に入れて、それをディフォルメしたものを絵にし、そして立体に加工すればいいのです。


それが実際のいきものとかなり違っていても、似顔絵みたいに、それに見えて楽しければいいのですから、いろいろな作り方が出来ます。しかし、実際にその生き物をよくご存じの方々が、その生き物についてもっとよく知ってもらおう、と言う場所で必要とされる「ぬいぐるみ」はいわゆる標本(剥製とか)を代行するものであったり、大きさや重さを体感するものであったり、色や質感が実物に近い必要があったりと、標本を代行するレプリカに近いものが要求されたりします。


材料が布主体であることや、表現に限界はあるものの、かえってそれがレプリカにはない暖かみになったり、生きているように見えたり、プラスになることもあるような気がします。そして、なによりもそれに見える、というシルエットを作るためには、骨格を見るのが一番いいと最近感じています。表面を見て、羽毛や体毛に隠れている骨格や筋肉を見ないで作ると、写真のような平面的なシルエットになってしまうような・・・骨格を動かすための筋肉を想像し、生きている姿を思い浮かべて内側から組み立てることによって、その生き物の動きが出せるような気がします。

生きている姿を絵に描いて、そこから作っても同じこと、のようですが、どうもわたしにとっては違うみたいなのです。

ぬいぐるみのようで、レプリカみたいで、本物と間違えそうだけど、やっぱりぬいぐるみで、かわいかったり、重かったり、びっくりしたり、そのうちほんものに会いたくなったり、もっと知りたくなったり・・・そんなものづくりを目指して、もっと精進しようっと。それが、ほんのわずかでも、ほんものたちの役に立ったらとってもうれしいんだけど。それはなかなか難しいね、クマさんたち。


それで、5匹の子ぐまたちはここにいます。

Y氏は日本を代表するのクマ研究者。学術的なことから人とクマの関わりまで、一種類の動物をとりあげた企画展はあまりないので、できればわたしも行ってみたいと思います。企画展は7月12日から9月21日まで(月曜休館)とロングラン、夏休み中はいろいろなイベントもあって楽しそう。博物館の周りも自然の景観が残っていて、常設展も見応えがあります。近くの方はこの機会に一度、出かけてみてください。


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