さとやま暮らし

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2008年7月25日金曜日

ツキノワグマ

今年はなんだかクマ年だ。年の初めにツキノワグマの頭部をかたどった帽子と手袋のセットを作り、そのあとクマタカ・・・これは鳥だけど、クマがついてるし。

あとドングリをひっくり返してヒグマっていうプランが進行中(マル秘)。そうこうするうちに、クマの企画展というお話が・・・そこで作ったのが5匹の子ぐまたち。今年巣穴から出てきた1年目の子ぐまを想定して、企画展の企画者である博物館のY氏から資料画像をいくつか送っていただいて、ぬいぐるみだけど、本物っぽい感じの子ぐまたちを作ってみました。

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時間などの制限があって、一つずつ別々のポーズにする余裕はなかったんだけど、みんな同じじゃつまんないので、首を右に曲げたり、左に曲げたり、少しだけ上を向いたり、かしげたり・・・それから横目で見たり、という「小細工」をしてみました。

そうしたら、仕事場で5匹の子ぐまたちはまるでいたずらの相談をしているみたい!でしょ。


今年になって、というより手元で作る一点物はそれぞれ使用目的に合わせて製作するので、大きさや重さ、質感など、出来るだけ本物に近く、というのが多くなってきました。一口に体重や全長と言っても、頭部と胴体の割合や首の長さ、頭の幅とか体の太さなど、感覚的には意識していない部分のサイズが、製作するときには必要だったりします。


そしてなにより全体のバランスが重要で、それがちょっと違っているだけでも、なんとなくほんものの感じが出ない。そこで、最近は資料として骨格の画像をいただいたり、標本の頭骨をお借りしたり・・・資料について以前より欲張りになりました。もちろん、ぬいぐるみとして鑑賞するだけなら、その動物のかわいらしい仕草や特徴をいったん頭に入れて、それをディフォルメしたものを絵にし、そして立体に加工すればいいのです。


それが実際のいきものとかなり違っていても、似顔絵みたいに、それに見えて楽しければいいのですから、いろいろな作り方が出来ます。しかし、実際にその生き物をよくご存じの方々が、その生き物についてもっとよく知ってもらおう、と言う場所で必要とされる「ぬいぐるみ」はいわゆる標本(剥製とか)を代行するものであったり、大きさや重さを体感するものであったり、色や質感が実物に近い必要があったりと、標本を代行するレプリカに近いものが要求されたりします。


材料が布主体であることや、表現に限界はあるものの、かえってそれがレプリカにはない暖かみになったり、生きているように見えたり、プラスになることもあるような気がします。そして、なによりもそれに見える、というシルエットを作るためには、骨格を見るのが一番いいと最近感じています。表面を見て、羽毛や体毛に隠れている骨格や筋肉を見ないで作ると、写真のような平面的なシルエットになってしまうような・・・骨格を動かすための筋肉を想像し、生きている姿を思い浮かべて内側から組み立てることによって、その生き物の動きが出せるような気がします。

生きている姿を絵に描いて、そこから作っても同じこと、のようですが、どうもわたしにとっては違うみたいなのです。

ぬいぐるみのようで、レプリカみたいで、本物と間違えそうだけど、やっぱりぬいぐるみで、かわいかったり、重かったり、びっくりしたり、そのうちほんものに会いたくなったり、もっと知りたくなったり・・・そんなものづくりを目指して、もっと精進しようっと。それが、ほんのわずかでも、ほんものたちの役に立ったらとってもうれしいんだけど。それはなかなか難しいね、クマさんたち。


それで、5匹の子ぐまたちはここにいます。

Y氏は日本を代表するのクマ研究者。学術的なことから人とクマの関わりまで、一種類の動物をとりあげた企画展はあまりないので、できればわたしも行ってみたいと思います。企画展は7月12日から9月21日まで(月曜休館)とロングラン、夏休み中はいろいろなイベントもあって楽しそう。博物館の周りも自然の景観が残っていて、常設展も見応えがあります。近くの方はこの機会に一度、出かけてみてください。


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2008年7月18日金曜日

クマタカ

今回の作品は「クマタカ」です。


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実物よりほんの少し大きいかもしれません。山形県の猛禽センターで、教材、あるいは展示用として使われることになりました。

じつはクマタカを製作したのは3度めです。

飛翔している猛禽では、ほかにイヌワシも2度、あとカラスも1羽作りました。鳥の羽を作るのはなかなか難しく、製作の方法もどこかに既存のやり方があるわけではないので、すべて手探りでした。



何度か作るうち、また今回は猛禽センターの方に無理を言って出来るだけの資料を用意していただいたので、製作の手順もかなり進化してより本物に近い形を作ることが出来たと思います。くちばしや爪は、ほんものの標本をお借りしてそれを見本に樹脂で作り、サイズを計測した値から割り出して細部の部品を作り、最後はたくさんいただいた画像を参考に羽1枚ずつ模様を描きました。




全体として白や淡色で鳥の体を作り、それを立体塗り絵のように彩色していって、仕上げたものです。

羽の素材はシルク、それを入手するにあたってはちょっとした苦労がありました。素材のシルクはアートフラワー用のもので、裏に糊を張ってハリを出したものなのですが、これを加工していた会社がご時世でなくなってしまい、生地は配給!・・・とのこと。

やっとの思いで必要量以上を確保(今後同質以上のものが入手出来る可能性は不明)し、胴体の生地(淡いページュのこれもすでに廃盤在庫僅少)を出来るだけ効率良く裁断して・・・その前に足の爪とくちばしを作り、それを組み合わせて頭部と両足を製作。




そして羽の部分を3つのパーツに分けて(1枚ずつ×10枚)+(数枚分で1枚)+(1枚ずつ×3枚)を裏表2組、×左右の羽で2倍、それと芯を各1枚裁断。それらを羽軸のワイヤー(重くなく、まっすぐの状態を保持するため、番手が重要)を挟んで接着、そして一枚ずつ再度整形。それからワイヤーを補強しつつ翼を形成。そして尾羽も同様に数枚のパーツで製作し、胴、頭部、尾を組み立てて全体の大きさを決め、それに胴の生地を縫ってかぶせ、羽の前部を覆う生地を裏表かぶせて白い鳥の体が出来る。




次にこれを着色するわけですが、なにしろ大きいので置く場所も必要だし、左右対称にするためには少しずつ右、左、と着色しないと色に濃淡が出てしまう・・・などなど、一筋縄ではゆかないのです。しかも全体を形にしてからの着色なので、失敗は許されない!ということで、かなりの時間と手間がかかりました。

最後に整形しておいた足を取り付け、その部分に着色してようやく出来上がり。

頭部にはカットや細かい彩色をして冠羽を作りました。そうして出来上がったクマタカの記録画像を撮るべく、後ろの緑を背景に撮影していたら、近くにいた人たちが本物かと思ってまわりに集まってしまいました。

クマタカは、はっきりした模様もあってかなりインパクトが強いので目立ちますよね。

しかも翼開長1.8メートルという大きさですし。こんな鳥がこんなところにいるわけはないのですが・・・しかも簡単に持ち上げられて・・・クマタカ自身は標高の高い山などに広い縄張りを持って狩りをする、タカの仲間では大型の鳥ですし、日本では数も減ってしまって野生の姿を見るのはとても難しい鳥です。

かつてはオオタカとともに鷹狩りにも使われたようで、日本画の題材にもよく使われているのですが、今では実際に見ることは難しく、大きさを実感するのも難しい~ということで製作をさせていただいた次第です。

かれらは大きくて美しいというばかりでなく、山地の生態系の頂点に立つ生物の豊かさを象徴する生き物という意味で、日本の自然になくてはならない存在です。そんないきもの、大型の猛禽類や、熊たちが今、置かれている状況を考えると胸が痛みます。

それはいずれ、われわれ自身にも返ってくる未来を暗示しているかもしれません。とはいえ、わたしのところから巣立った1羽のクマタカが、猛禽センターで出会うたくさんの人たちに、何かを伝えるお手伝いが出来たらいいな、と考えて作品づくりの糧にしたいと思います。



そして、最後の大仕事。それは、梱包です。

2008年7月16日水曜日

やまねが帰ってきた話


最近経験した不思議な偶然のお話をひとつ・・・

先日、去年の展示にいらして下さったお客さまからメールをいただきました。
それは新刊の怪談専門誌にやまね工房のやまねが載っている・・・というものでした。その方が見つけて下さってお知らせいただいたのです。それは、こういうお話でした。

「山の怪談」特集の中で、作家の安曇潤平さんという方の対談でのお話。その作家さんはやまねのぬいぐるみを山行きのパートナーとして(名前も付けていただいているらしい)、甲斐駒ヶ岳に連れて行かれたらしいのですが、どうもそこで落としてしまったみたいなのです。ちなみにやまねやももんがはご購入いただいてすぐに連れ歩き、逃がしてしまわれる方はときどきいらっしゃるようで、ご帰宅ののち再度ご購入いただくことがたまにあります。で、見つからないまま帰宅されたのですが、その後会社帰りに近所のスーパー銭湯駐車場に落ちていた・・・というもの。

このお話だけでも偶然なのですが、それから一週間くらいの間に網走に見えたお客さんからこんなお話しを聞きました。

その方は子供たちを野外に連れて行く自然観察のお手伝いをされているらしいのですが、そういうとき、やはりやまねのぬいぐるみをいつも連れて行ってくれているそうです。そしてあるとき、やはり野外でそれを落としてしまい相当探して下さったらしいのですがそのときは見つからず、あきらめて帰ってきたとのこと。

そして後日、また同じ場所に行く機会があって、そのときに連れて行った子供たちのうちのだれかが「これな~に」と拾ってきたのがなくしたやまねだったと。それはまあ、同じ場所だしありえる話ではあるのですが、時間の経過やいろいろな条件を考えると同じ人のところに戻ってくるというのは不思議~。

そもそもやまねは背中の筋のせいか、落ち葉の中に置くとたちまち同化して見えなくなってしまうのです。


ほんもののやまねとかなり近い色、形をしているので当たり前かもしれませんが、いつか型録絵本の裏表紙になっている写真を清里で撮ってもらったとき、何気なく落ち葉の中に置いたらすぐに見えなくなってしまいあわてた覚えがあります。何か印を置かないと見失ってしまうのです。保護色ってすごいなあ、とつくづく思いました。

だから、山道で落としたら探すのは至難の業です。山に連れて行って下さる方は、派手な色の「印」をつけられることをおすすめします。そうしないと、彼らはすぐに逃げちゃいますからね。でも、そうしていったんは山に帰ったやまねが、またもとの持ち主のところに自分で帰る、ということもあるわけです?彼らはその間に何を見て、どんな経験をしたのでしょう・・・「怪談」のネタになるくらい、考えたらちょっと「恐い」お話かもしれませんが、なんだかかわいい感じもしますよね、「座敷童」みたいで。

ほとんど同時にやってきた、やまねが帰ってきた2つのお話、偶然にしては出来すぎているようでちょっと恐い、夏の夜にふさわしい話題かもしれません。

ラブバードテルアキ展 開催中

やまね工房 網走 からのお知らせ

前回お伝えしました、ラブバードテルアキ展が始まっています。

新作も数多く出展されていますので、お楽しみいただけると思います。一つ一つ丁寧に作り上げられている作品をよーく見ていただけるように、展示会場には大きな虫眼鏡もご用意しています。

期間:8月25日まで開催、時間は、10時から17時まで

是非、ご覧下さい。





2008年7月15日火曜日

本日のホットな話題

毎日雨降りかと思ったら、突然めちゃくちゃ暑い日がやってきてもう4日も続いている・・・

しかも湿度が高くて、は虫類が元気になりそうな日だなあ、と思っていたら~ 珍しくスタッフのKさんと並んでミシンの前に座っていたときのこと。いろいろな仕事があるので、ミシンの前に2人そろうことはめったにないのですが、たまたまそうして暑そうな窓の外に目をやったらば、視線の先のロウバイの木から何かがするすると下へ移動した気配。

ちょっとリスのように見えたそれは、虫にしては大きく、獣にしては小さすぎるような気がするものでした。それで、もっとよく見ようと窓に顔を近づけたら、そこに見えたのは細長いやつ・・・青ちゃん(1メートルくらいの小形のアオダイショウ)じゃないですか。

たしか去年の秋、同じ青ちゃんがシマヘビに追っかけられて、あわてて落ちてきたのとどうやら同じ木です。そのとき青ちゃんはなぜか大あわてで、あとから追っかけて来たシマヘビは地面に降りてもしばらく追いかけ、首を持ち上げてきょろきょろ(そういう風に見えた)探していましたが、近くに見えないので元来たほうへ引き上げたのでした。

一方青ちゃんと言えば、家の周りを一週するほど逃げてなんだかとっても恐そうにしていました。そして今日の青ちゃんは・・・ずるずる木から降りてきて、枝が張りだしたところにしばし頭を乗っけて、ふぅーみたいな感じで木の裏側、つまりこっちから見えない方に回り込んだ。

すると、下からなにやら黒っぽい影が。

ひょひょひょーんと登ってくるではないか!何これ?さっき下ってったやつじゃん。よーく見たら、それはやもりでした。やもりが、家に張り付いて獲物を待っているときのようではなく、まるで野生動物のように、青ちゃんの目をかすめて反対側から再び木に登ったのでした。何か野生のドラマ!やもりって野生生物だったのねー。それと、やっぱり青ちゃんって少しどんくさいのねー。というのがわかった数分でした。写真を撮ろうと思ったのですが、さすがにその間に青ちゃんはいなくなり、あとあの細長い姿を見たくない方には申しわけなく、お見せすることが出来ないのはちょっと残念ですが、想像してください、ちょっとお間抜けな愛すべき青ちゃんを。

それでやはり本日の話題をもうひとつ。

当地では今日と明日が夏祭り。

観光地ということもあって、町内ごとに工夫をこらした山車やお囃子で市内を練り歩く夏のメインイベントです。我が町内はしかし、諸般の事情により参加は今年で最後ということになったらしいです。で、今年の出し物はオリンピックにちなんで「パンダ」とのこと。

エアーでふくらませる大きなパンダが必要とのことで、原型を製作するお手伝いをさせてもらいました。高さ3メートルと大きいこと、エアーでふくらませること、全く伸びないビニールみたいな生地を使うこと、それになんだか仕事がたてこんでいるとき、に重なるんですねこういうことって。それで、あまり時間もかけられず、どういうのがベストなのかわからないまま、ちょっと逆三角顔のパンダになっちゃったんですけど・・・ご町内のみなさま、カンベンしてください。なんとかパンダに見えますか?ってことで、今日はお祭りに参加してきました。

アゲハモドキ

もどき・・・似て非なるもの
アゲハに似ているけどアゲハじゃない。


それじゃ何?ってことで・・・調べたらこれはジャコウアゲハに擬態している蛾の仲間ってことらしい。

ジャコウアゲハはその名のとおり臭いがあって、捕食者には不味いらしいんだけど、見た目でわたしは不味いですって言ってるんだね。昆虫の中には毒があったり不味かったりしてあまり食べられない虫のまね?をしてそっくりさんでごまかす、っていう種類がときどきあるようだけど、これは進化論で言うとどういうことになるのか?心情的にはお笑い芸人さんじゃないけど、ちょっとまねしてみました~って感じ。

よく見ると小さいし、触覚やシルエットが微妙に違って、なおかつ羽の閉じ方がやっぱり蛾じゃん!なんだけど。それにしても羽の彩りは良くできてますねぇ。

事務室にしている部屋の窓ガラスに張り付いていた一匹。


腹側から見ると赤い彩りが足にもあって、お腹も太いのでちょっと違った印象。そしてガラス面には小さくて丸く、光沢のある白い卵が3粒。これはアゲハモドキの卵か?その後中身の色が変わって、発生が進んでいるように見えた卵、今朝見たらもぬけの殻だった。

きっと孵ったんだね。それにしても食草を考えてのことなのか?近くに植物はないし、食草はミズキの仲間、とある。蛾のお母さん、孵ったばかりの幼虫にここで食草を探せって、それはないと思うけど?・・・