さとやま暮らし

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2006年9月1日金曜日

ヤンバルクイナとオオコウモリ

 去年のはじめ、友人で絵描きの大田黒さんから、思わぬお誘いを受けました。
それは、絵描きさんを中心に、数人のグループでヤンバルクイナの生息する沖縄北部を訪ね、作品に仕上げて展示をするというもので、それ自体を危機的状況にあるヤンバルクイナを知ってもらうキャンペーンにしたい。というものでした。大田黒さんと、お知り合いのI氏が企画されたもので、名付けて「やんばるアートプロジェクト」。
このための必要経費(旅費など)は、スポンサーを募集して出資してもらい、後日展示を終えた作品をスポンサーにお渡しする、という画期的なプランです。
 作家は作品を提供するかわりに、なかなか自分では出かけられないやんばる地方の取材を経費をかけないで出来る、また、それが結果的にヤンバルクイナの役にたつかもしれない、というまたとない機会です。その上、実際地元でヤンバルクイナの保護活動をされている方々に、直接森を案内していただいたり、彼らの現状についていろいろお話を伺ったりできる。なんだか夢のような企画でした。
それではじめは半信半疑(ごめんなさい)だったのですが、日程が決まり、あれよあれよという間に5月になって、やんばるアートプロジェクトツアーは実施されたのでした。
それはほんとうに貴重な体験でした。



 地元の方々にすれば、ここ数年のあいだにかなり変わってしまったというその場所、ヤンバルクイナの声を聞きながら眠り、オオコウモリの群れる木を眺め、太古の昔をるような大きなシダが茂る森を歩き・・・ しかし、同時にいまこの地が抱える様々な問題も同時に知ることになりました。この北部へ来るまでの道すがら、途中の森ではマング-スの北上によって、昆虫や鳥たちがいなくなってしまったために、音のしない静かな森になってしまったこと、ヤンバルクイナの生息地のすぐ近くまでマングースが北上していること。また、やんばるの森の中まで舗装道路が通っていて、クイナが子育てをする季節は交通事故がとても多いこと。実際滞在中の4日間に2羽の成鳥が犠牲になったこと。ほかにも、道路脇の側溝に落ちて、ひなやそのほかの小動物がしんでしまうことなど。
そんな側溝のわきをパトロールする人たちがいて、命拾いするひなや小動物もいる。それはごく一部かもしれないけど、考え続けるひとたちが地元にいてくれる、というのは一つの希望です。ほかにも、沖縄が抱える様々な問題、基地のこととか、やんばるの森も今はうっそうと茂っているけれど、これは実は二次林で、よく見るとあちこちにひとの痕跡があり、かつての戦争ではここは最後の逃げ場だったことなど。短いあいだでしたが、これは貴重な体験であると同時に、わたしの気持ちの中に何かの種をまいた出来事でした。



 この旅でいちばんの収穫は、やはりひととの関わりでしょうか。
普段ひとりで仕事をすることが多い中、何人もの作家さんたちと、大好きな生き物を観察することができ、また、地元の人たちも含めてそれを共有することが出来たというのは、すばらしい体験でした。沖縄の方々のやんばるの森への思いを知り、また手弁当でこのプロジェクトに関わり、案内やお世話をいただいたり、お仕事の合間に各地で展示をして下さったりと、その「ちから」に感心したり頭が下がったり。これはかつてI氏が沖縄にお住まいで、そのお仲間との連携で初めて実現したというのはあとで知ったのですが、まさに感動ものでした。そして、それを何より物語るのは、このプロジェクトに参加した作家のご一家が、今年、やんばるに移住された、という出来事でしょう。

 今日現在もやんばるの森には、ヤンバルクイナをはじめとした様々な生き物たちが住まい、また彼らをこれ以上の危機にさらさないために、日々戦う熱いひとたちがいます。




 作品「ヤンバルクイナ」と「クビワオオコウモリ」は10月の大崎での展示に出品予定です。
クイナは2体あって、1体はスポンサーのI氏のところへ、もう1体は沖縄でお買い上げいただいて、今はたぶんやんばるにいます。このうちI氏がお持ちの一体をお貸しいただけるとのことで、大崎でみなさんにご覧いただければと思っています。オオコウモリの方は沖縄から帰ってきた2体を持って行く予定です。
オオコウモリはちょっと高価になりますが、販売もする予定です。


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