さとやま暮らし

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2006年4月1日土曜日

ヤママユの幼虫

生き物は何でも好き・・・な私だったのだが、こどもの頃平気で触れた ある種の虫が、オトナになってちょっと苦手になった。直接何か危害を与えられる訳でもないのに、写真でも絵でも、姿を見ただけでだめなのである。


頭では大丈夫、と思っても何か生理的に受け付けないというか・・・
とにかく、こんな日がいつか来たらという恐怖がどこかにあったのだが、とうとうその日はやって来た。しかも特大に拡大したやつを作れというのだ。

「えーっ」一瞬、担当の加藤さんを恨みそうになったが、待てよ、この ぐにゃぐにゃ感はどうやって作ったらいいのかな?どうせなら本物そっくりに 動かしたいよね、と、もう製作の方法を考えているもう一人の自分がいた。プロやなあ。って自分で言ってもね。

それからの格闘の日々、毎日少しずつ手触りや曲がりを確認しつつほとんど 手作業で仕上げるうち、苦手なはずのこの物体がなにかかわいく思えてきて、 とうとう最後には手放すのが惜しいほどに・・・?はならなかったが、 抱き心地がよくてついつい触ってしまうようになったことは確か。
実物より緑色の部分が少し濃くなりすぎてしまったのは残念だが、質感はなかな かよく出たと思う。カイコも一緒に作り、こちらも「気持ち悪ーいけどかわいーい」感じで良く出来 たと思う。これは次回に。

とにかく、拡大したいもむしはこうして形になったのでした。
これはクヌギやコナラの葉を食べる大型の蛾、ヤママユの幼虫です。
大きさは約50センチ。



実物は7センチぐらいの幼虫で、成虫は羽を広げると10センチ以上 になる大型の蛾です。
モスラみたいだねえ、言いながら作りました。作る前に資料をいろいろ調べるうちは、なんだかびくびくものだったのですが (それを見るのが恐ろしくて)その資料を身の回りにずっと置いていたら そのうち慣れたみたいです。



ぷにぷに感と、自在に曲がるしなやかさ、体表の一種の光沢を出すのに 体の節を一つずつ手作業でつなげたり、芯に「あるもの」を入れたり、表面に オーガンジーをかぶせたりと、けっこう苦労しました。たくさん手をかけたので、しまいに愛着がわいてしまったのですね、きっと。いい経験でした。

苦手もひとつ克服(実物はだめかも)出来たし。そうそう、これを作っている最中のことでした。炭焼きの準備をしていたスタッフの木村さんが、大風でうら山から落ちてきた 枯れ葉といっしょに、それに張り付いていた「繭」を見つけました。それは、まぎれもなく「山繭」ヤママユの蛹が羽化したあとの繭だったのです。


ここに何年も住んでいますが、庭でヤママユの繭をひろったのは始めてです。
以前、炭焼きの見習いに行った、地元の農家のおばさんが、かつてこの繭を 集めて帯を作った話を聞いたことがあるのですが、今はもうすっかり見かけなく なったとおっしゃっていました。

このヤママユも、かつての里山ではメンバーの一員として普通に暮らして いたのですね。
今ではクヌギやコナラの林は荒れ、山繭の糸は大変貴重なものになってしまい ました。

落合けいこの庭


 今年の4月は庭仕事が格別忙しく、これを書くのもすっかり遅くなってしまいました。
今年は寒さがゆるんだかと思えばまた霜が降りたり、1日だけやけに暖かい日がやってきたり、雷や雹が降ったり・・・・
おまけに4月は雨が多くて、3日とお天気が続きません。
そんなこんなで、パンジーの交配はなかなか進まないわ、植え替えや剪定も思うようにゆかず、あげくに雨のせいで病気も出てしまいました。

 裏山ではいつもは4月の初めからたけのこが出るのですが、今年は4月半ばを過ぎてもさっぱり収穫がないようでした(私は掘りませんが)。
その上、去年まではそんなに目立たなかったいのししが、すぐ裏の山にまで出てくるようになり、踏み荒らしたあとや糞が見つかるなど
すっかりいのししの縄張りになってしまったようです。
たぶん今年は、暖かくなるのが遅いのでいのししの食べ物も少ないのでしょう。

 小鳥は庭のまわりでたくさんさえずり、いつもうるさいひよどりの姿は少ないようですが、(その代わり?かどうかわかりませんが、イソヒヨドリはこのごろたくさん見かけます)植物の葉を食べる虫の姿も、どうやら少ないようです。
庭仕事には、虫はあまりうれしいものではないのですが、これから鳥たちが子育てをする季節に、雛の食べ物がなかったら困りますよね。
どうなっちゃうのでしょう。

 そんなわけで、庭の収穫物は何だか少なめの春ですが、季節を追って様々な芽や花が目を楽しませてくれます。
早春の花はゆっくり芽を出して少しづつ花を開くので、ゆっくり待ちながら花見が出来るのですが、この季節は一度にいろいろなものが出てくるので、うっかりするともう花がしぼんでいたり、写真を撮るタイミングも難しいのです。
山野草や低木など開花期の短いものは、桜と同じでまさにあっという間に見頃を過ぎてしまいます。ああ、一年間待ったのに・・・
とはいえ、彼らは別に人に見せるためではなく、1年のサイクルの中で一番都合のいい季節に花を咲かせ、実を結んで翌年の花のための栄養を蓄え、暑い夏や、寒い冬を眠ってやり過ごすだけです。
それでも、季節ごとの彼らとの出会いは、心躍る毎年のお約束です。
今はもう出かけることは出来ませんが、山菜採りの季節にはじっとしていられないうちの老母のように、それはきっと祖先から受け継がれた生き物のの性なのかもしれませんね。

 そんな春の庭から、なんとか捕まえられた旬の花たちを少し、紹介したいと思います。

ミケーリア・・・常緑の木蓮の一種、とても大きな香りの良い花を、これは年内から花を咲かせて、春を通して半年ぐらい咲き続く。中国南部の産らしい。
なんだかこの世のものとは思えない、という感じがする東洋的な花。

クマガイソウ・・・アツモリソウと並んで、人名が付けられた蘭の仲間。
美しい、というよりは奇妙な、大きくて変わった花を咲かせる。
アツモリソウはどちらかといえば高山や北の方に分布し、数も少ない貴重な花だが、クマガイソウのほうは以前は近所の竹薮でも見かけたほど里山に普通にある植物だった。が、近年はやはりどちらかといえば希少な植物。

イカリソウ・・・これもちょっと変わった花だが、小さくてガラス細工のような繊細なイメージを持っている。横から見た花の形が船の碇を逆さまにしたものに似ているのでそう名付けられたらしい。
花色や形の異なるいくつかの種類があって、中国産のある種は薬草として有名。
スノーフレーク・・・早春に咲くスノードロップと、仲春に咲くスノーフレーク、どちらもヒガンバナ科の、広くは水仙の仲間だが、スノーフレークは大型で小さなベルをいくつか、竿の先にぶら下げたような花が咲く。
どちらも花弁にあるグリーンの模様がチャームポイント。だれがデザインしたのかしら。

ラグラス・・・英名はヘアーズテイル、つまり野うさぎの尾でまさに形から名前がついたとわかる花穂を付ける。これはこのまま種になるのだが、ドライフラワーにするといつまでもふわふわの尻尾が楽しめる。
ちょっとねこじゃらしに似ていますね。
これは、尻尾もかわいいんだけど、花が咲く前の草全体が柔らかいビロードみたいな手触りで、それがけっこう好き。

メッセージ



 待ち遠しかった春が、各地で例年より少し早めの桜にさそわれてふわりとやって来ました。
しかし、妙に暖かい日があったかと思うと、また冬に逆戻り?という寒さが続いたりし、時には各地で雪が降ったり・・・
また今年は菜種梅雨というのにはちょっと降りすぎくらい、強い雨が多いですね。
春雨というよりは土砂降りで、庭のあちこちに水たまりが出来るほど。
そのせいか今年はとうとうヤマアカガエルの産卵は1卵塊だけでおしまいでした。
例年、時期をずらして2個か3個は産卵するのですが、今年はタイミングが合わなかったのでしょうか。
もっともその1つの卵塊で、4つある池もどきはけっこう満員なので、今年のおたまじゃくしは生き残る可能性が高いかもしれません。
例年、満員御礼の池もどきでは、大雨が降るたびに新天地をめざしておたまたちがダイビングするので、あふれた水が落ちる場所には干からびた黒豆の山が出来、複雑な気分になるものです。
もちろん混みすぎたところは分散の手助けをするのですが、一つの卵塊で数百のおたまが孵ってしまうので、とても全部は面倒見きれないのです。




 以前は各地の斜面にあった耕作前の田んぼや、ため池が彼らの繁殖の場所だったのでしょうけれど、いまやちょっとした水たまりもなかなか見あたりません。
直径50センチ ほどの、大鍋やポリ容器に、毎年律儀にやってくる彼らの、そんな事情を考えると悲しくなります。

 今年は、春先からお天気も何だか変ですが、生き物たちにもいろいろと異変があるようです。
まずは北海道のスズメたち。道内で数百羽が死体で発見されたそうです。
東京でも一部の地域でハトが変死しているようですが、原因はどちらもまだ特定出来ないようです。
知床沿岸ではやはり多数の油まみれの海鳥が見つかり、これも原因がはっきりわからないということです。
今年は冬鳥が大変少なく、またやって来る時期もとても遅かったのですが、我が家周辺にはスズメも、メジロたちも、シジュウカラやヤマガラ、コゲラやアオゲラなど、例年と変わらないメンバーが姿を見せています。
しかし、地方によってはとても鳥が少なく、さえずりが聞こえないので静かだとか、スズメをまったく見ないなど異変があるようです。
当地でも、そう言えばいつもうるさいヒヨドリの姿が、例年に比べて極端に少ないような気がします。
いま、庭で我が物顔なのは雛が巣立ったキジバト一家です。
家族以外のキジバトがやってくると、「プンッ」という威嚇音を出しながら追い出しています。

 今年は、気象条件によって渡り鳥のルートが例年通りではなく、たぶんいくらか遅れ気味、というのはあるかもしれませんが、スズメやヒヨドリといった身近にたくさんいたはずの鳥たちが姿を見せないというのは、やはり何だか変ですね。



 一年中近くにいると思われていた彼らも、実は渡りをしていて、冬の彼らと夏の彼らは別の鳥だった・・・ということが比較的最近解った・・・らしいのでこれはその証なのかもしれません。
そして、鳥たちの生活も案外一定ではなくて、たとえば最近いままでいなかった鳥が増えたとか、ツバメとイワツバメがいつのまにか入れ替わったり、翼のある彼らのこと、たくましく適応して生活を変えたりしていることも事実です。
そして季節が進めば案外何事もなく、身近な鳥たちがにぎやかに騒ぐ・・・というのだったらいいんですけど。

 なんだか少し、これは彼らからの何かの警告かも、という気もして不安なこの頃。

 皆さんのところではいかがでしょうか。