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ウインターベリー、その名も「ふゆいちご」、冬に熟す木苺の仲間をご存知ですか。 冬に熟す木の実はいくつもありますが、木苺の仲間はたいてい初夏に熟すので、はじめて見たときはちょっと驚きました。しかも「ふゆいちご」はほかの木苺類のように立ち上がらず、細い枝を広げて、地面に広がります。沢沿いの斜面などに、これが群落を作っているところを見ることがありますが、そんな時は地面が一面「ふゆいちご」の葉で覆われたように見えます。そしてある朝、雪でも降ると、少し紅葉した葉の色と真っ赤な苺、雪の白で彩られ、とても美しい光景です。 しかし、そんな光景は長くは続きません。 たいていはそれを目にする前に、雪の朝早くに苺を摘み取ってしまうものがいるからです。それは雪で地面を覆われて、餌を見つけにくくなった冬鳥たちです。そんな朝は、「ふゆいちご」ばかりでなく、庭先の「千両」や「万両」「南天」の実もいっせいに姿を消します。 不思議なことにこれらの赤い実は、雪が降る前にはあまり減らなくて、まるで決まりがあるように、雪のあとすっかりなくなります。長い付き合いの間に、植物と鳥との間に交わされた、なにかの約束なのかもしれませんね。 植物は実を食べられてしまうだけじゃないかって?いえいえ、庭中に芽を出すこれらの赤い実の種まきをしているのは実は鳥たちです。鳥たちはその場所から動けない植物の種を、実をいただくことによってあちこちばらまいてやっているのです。 気がつくと庭中に植えたつもりのないいろいろな植物がはびこって、しかもこちらが植えたはずの実のなる木の枝を剪定したり実を採ったりしていると、鳥がやってきて文句を言ったりします。そう言えば夏の間も、鳥は葉についた虫を取ったりして植物の「手入れ」をしていたのですね。もしかしたらいくらか肥料もまいているかもしれないし・・・。 こちらが植えた木の実でも、少しは収穫をおすそ分けしなきゃいけませんね。そのかわり、「ふゆいちご」を見つけたら、鳥の目を盗んでいくつか味見をしてみてください。小さいけれど、甘くておいしいですよ。